⑥刷りの準備
まず版画用紙をカットします。
版よりも上下左右に余白を取って、さらに、水張りしてからカットすることを考慮して、余裕を持ったサイズにする必要があります。
カットした版画用紙をそのままプレスすることはできませんので、水分を与えて調湿をします。
なぜ調湿が必要かといいますと、水を吸うことによって乾燥した紙にはない柔軟性を持ち、その弾力で版の凹凸によくくいこむからです。
画像のように水を張ったバットに半日ほど浸して、刷る前に新聞紙にはさんで給水しておきます。体感、半日も待たなくても一時間程度で全く問題なく刷れます。
他にも、新聞紙と版画用紙を交互に重ねながら、霧吹きで湿していく方法もあります。こちらの方が、余計な水分の処理に煩わされないので好きです。たくさんの作品を刷るような長時間の刷りを予定している時には、版画用紙をはさんだ新聞紙全体を薄い塩ビシート(レジャーシートみたいなものでも可)で包んで、乾燥を防いであげます。さらにその上から板と重しを載せたら最高ですが、、、、重しがなくても、あんまり変化というか不具合を感じたことはありません(;´∀`)
さて、版画用紙調湿の待ち時間にもやることがあります。
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私は雁皮刷りが好きです。
雁皮刷りとは・・・プレス機を通すときに版と版画用紙の間に雁皮紙という和紙を挟み込んで刷る技法です。
髪の毛よりも細い細い繊細な凹凸にまで和紙の繊維が喰いこんで、インクを絡めとってくれるのです。版画用紙に刷ったものと雁皮紙に刷ったものとを比較すると、雁皮刷りはよりしっとりした印象で、アクアチントの表情もかなり違ってきます。
雁皮は伸縮率の激しい和紙です。
さらに、漉いた時の繊維方向によって、伸縮率が激しい方向とやや激しい方向があります。
そのため、版と同じ大きさに刷るためには、伸縮率を考慮して版よりも小さくカットする必要があります。ちゃんと計算している方もいるでしょうが、私は(もう予想がつくかと思いますが)目分量、感覚でカットしています・・・あんまりピッチリカッチリ正確でなくてもいいんじゃないかと、そういう考えでございます。
※雁皮が少し大きめであれば、刷り、水張り、乾燥が済んだ後に、画面サイズに合わせて雁皮だけカットすることは可能です。
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準備が整ったら、プレス機をスタンバイします。
ベッドプレートの上に、ラシャ・フェルトの順に置いて圧をかけていきます。
(版によってラシャ・ラシャだったり、フェルト・フェルトだったり使い分けてください。)
こだわりが無ければ、はじめはラシャ・フェルトでやってみて良いかと思います。
プレス機の圧は作品の刷り上がりに大きく影響します。
何度も刷りながら、自分の版に丁度良い圧を見つけてくださいね。
次はいよいよ刷りの工程です。
【 腐蝕銅版画 制作工程 】