腐蝕銅版画 制作工程

②基本の防蝕:グランドの塗布


基本の防蝕では、版全体を均一に防蝕します。

用意するものは

 

 

・グランド

 

アスファルト、松ヤニ、蜜蝋を鍋で煮ながら混ぜてつくります。

 

わたしはてっとりばやく既製品を買っています。

シャルボネール製、OM製、新日本造形製 などがあります。

シャルボネとOMのグランドはしっとりしていて、細かい描写をしてもひび割れまん。

新日本造形のグランドは乾きがちで 筆跡のまわりがバリバリとひび割れることがありますが、サラッとしているので 夏の気温が高い時などは使い心地が良いです。

わたしははじめ新日本造形を使っていましたが、OMの「版画工房のグランド」と出合ってからはずっとOMですキラキラ

しっとりした描き心地が素晴らしいです。

 

 

・希釈溶剤 (ひとつあれば十分です)

 

ホワイトガソリン…早く乾きます。直後はパリッとした乾き方。

 

リグロイン…ホワイトガソリンより時間がかかります。直後はちょうどいい乾き方。

 

プリントクリーナー…けっこう時間がかかります。直後はしっとりした乾き方。

 

※ただし2、3日経てば、どれを使っても同じような状態になります(体感)

 

 

 

ブツが揃ったら、防蝕の工程に入ります。

まず、描画面の裏側はすべて防蝕します。

カッティングシートを張る方法や、黒ニスを塗る方法などがあります。

裏面の防蝕処理が済んだら、いよいよ描画面のグランド塗布です!

 

ここではわたしがよく使う「流し引き」という方法をご紹介します。

まず注ぎ口のある小皿にグランドを注ぎ、希釈溶剤でイイ具合にうすめます。

ドロリ ではなく、サラリ にしてくださいビックリマーク

小筆などで泡立たないように混ぜたら、手に乗せた版の中央に注ぎます。

 

小柳優衣の制作活動記:Yworks

 

ゆっくりと版の全体に行きわたらせます。

グランドは表面張力でこぼれませんが、版のエッジに指が触れていると そこからグランドがつたってきますので、必ず版の中央を指で支えて持つようにします。


小柳優衣の制作活動記:Yworks

 

全体がグランドに覆われたら、余分なグランドは小皿に戻します。

グランドが乾ききる前に、なるべく均一になるようにちょっとずつ傾けて調節します。

 

大きい版でも同じようにやりますにひひ

中央にグランドを垂らして

小柳優衣の制作活動記:Yworks

 

四方に傾けて行きわたらせます。

余ったグランドは小皿に落として。


小柳優衣の制作活動記:Yworks

 

最後に均一さを微調整てんびん座

(恥ずかしながら、カメラ片手にやっていたら机にこぼしてしまっていますショック!

 

終わったら平行なところで、かつホコリっぽくないところで放置ですウサギ

グランドが乾く前にホコリが乗ると、描き心地が悪くなります。

 

小皿に残ったグランドは、またもとのビンに戻しておきます。


小柳優衣の制作活動記:Yworks

 

これでグランドも無駄なくOKニコニコ

 

 


他にも均一に防蝕する場合には、刷毛を使ってグランドを塗布する「刷毛引き」などがあります。

 

また、防蝕はグランドに限らず

 

1 耐酸性

2 耐水性

3 可塑性

 

を満たすものであれば使うことできますビックリマーク

 

最近(←執筆当初2011年)では揮発性溶剤を使わなくても防蝕できるものとして水性グランドも開発されていますひらめき電球

フロアワックスでも腐蝕液に耐えうるので 防蝕剤として使えますグッド!

環境に優しいですクローバー

ただ、筆跡のまわりがバリバリはがれてしまうという経験から、わたしはグランドを愛用しています。

 

 

 

グランドを塗布してしばらく放置したら、表面が乾いてきます。

時間はグランドの厚さによりますが、薄めだったら30分くらいで十分だと思います。状態を見てビックリマーク

長くほったらかしにする分には問題ないですチョキ

 

金網などに版をのせて アルコールランプやカセットコンロで下からあぶります。

わたしはBBQ用の金網を設置して版を置き、カセットコンロの弱火で下から炙っています。

 

 

熱を感じると グランド表面がツヤっとします。

そしたらもう十分です合格

こうすることでグランド中の揮発成分がとび、より版にしっかり定着してくれます。

(加熱しすぎると耐酸性が弱まるらしいと聞いたことがありますが、私自身はあまり実感したことはありません。)

 

あと版の裏とカッティングシートの間に空気や水が入っていると、その部分のカッティングシートがぷくっと膨らんではじけて焦げますショック!

これは腐蝕の時にも厄介だし、なにより刷るときに問題です禁止

なので加熱しすぎないように気を付けてくださぃビックリマーク

 

熱が冷めてくると、版表面はだんだんとツヤがひいて、サラッとした感触になります。
そしたらもういつでも描画できる状態ですラブラブヤッター音譜

 

自然乾燥だけでも十分に機能を果たしてくれますが、特に気温が高くなる季節なんかはこの処理でだいぶ作業性が上がりますべーっだ!

 

 

 


で、もっと家でやる簡単な方法はないのか!?と思って発見したのがドライヤーの便利さです音譜

 

小柳優衣の制作活動記:Yworks

 

 

 

大きくて動かしづらい版や、小さい版をちょこっと処理したいときにはとってもらくちんですビックリマーク

ツヤっとするまで温風を当てて、冷風でクールダウンペンギン

あっというまですょにひひ

 

 

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